レイアウト製作(1) 鉄道建設用地を見つけよう

レイアウトの設置場所は「探して見つける」もの

レイアウトを作る時の最大の難関はレイアウトを設置する場所、鉄道建設用地でしょう。
鉄道模型を自由に置いても良いというホビールームのような場所がある人はかなり恵まれていると思います。特に都心部の住宅は設計上も様々な部分がギリギリで、レイアウトを設置する場所なんて全くないというのが普通だと思います。
かく言う私の自宅も、床面に設置できる場所は全くありませんでした。
でも、ちょっと待ってください。諦めないで。
それでもレイアウトは設置できるかもしれないのです。

やらない方がいいこと

最初に2つのやらない方がいいことを書きます。

1.先に線路の配置や情景を考えてから場所を探すこと

2.線路の形に変なこだわりを持つこと。
特にごく普通の小判型の1周の線路(オーバルと言います)を作らなくてはならないということに、こだわらない方が良いです。

1.ですが、実際に多くの人は、まず線路の配置を考えてから、レイアウトを考えると思います。私もずっとそうやってきました。
それに鉄道模型の雑誌やレイアウトの入門書などを買うと、必ずと言っていいほど、一番最初はオーバルに引き込み線が付いたような配置が簡単な例として載っていて、そのために長方形のベニヤ板を用意しようなど書いてあります。

実はそれが一番の間違いです。

レイアウトを作るのに、ベニヤ板なんて要りませんし、長方形の用地はかなり効率が悪い形です。
実際に私もそのようなレイアウトを作ってしまい、何回も失敗しました。

最初に考えなくてはならないのは、線路の形とか、どんな列車を走らせたいとか何両走らせたいとかではなく『どの場所なら家族にも認めてもらえて、置いてあっても邪魔にならずに部屋のインテリアとして成立するか』です。

レイアウトを作ると言うことは、お座敷レイアウト以外の場合、何年もその場所に線路があということです。
1日2日ではなく、年単位でそこに鉄道が敷かれてしまいます。
夏でも冬でも常にあっても、家族や他の人から怒られない場所。これが最大の優先事項なんです。

自宅で想像してみてください。
家の中で『何年も置いてあって邪魔とは言われない物』って何があるでしょうか。

テレビ、冷蔵庫、食事のテーブル、食器棚、飾り棚、クローゼット、本棚、パソコンラック……。
家によって違うと思いますが、とにかく思いつくだけ書き出してみてください。
一人暮らしであってもこの条件は変わらないです。生活の邪魔にならないからこそ、年単位で安定して鉄道が走るのです。

書き出して見ると気がつくと思いますが、それらには共通点があります。
ひとつは何かの機能で役に立っていることです。テレビや冷蔵庫ですね。
もうひとつはいわゆるストレージ機能であることです。食器棚とか本棚ですね。
そして、最後のひとつはインテリアです。装飾機能といってもいいかもしれません。思い出の品だったり、好きなものだったり。

鉄道模型には生活必需機能はありません。ストレージにもなりません(模型車両のストレージにはなりますが)。
つまり、インテリアとして成立しない限り、レイアウトは存在し続けることはできないのです。
特に女性(主婦の方が最強です)が見て、「あ、いいね」とか「夢があるね」とか言ってくれるものでない限り、自宅の中の鉄道は存続できず、すぐに廃線になってしまいます。

レイアウトの設置場所とは、インテリアとしておける場所で、邪魔にならない場所なのです。

線路のことを考える前に、まずこれを考えます。
もちろん、その結果、お父さんのホビールームだから全部使ってもいいだろというのもありです。
しかし、ホビールームがない人こそ、この概念が大切になります。

私の部屋には常にメルクリンがありますが、棚の中と窓際です。
私の友人で、いつ遊びに行ってもメルクリンがある人がいますが、彼のレイアウトは階段の下のデッドスペースにあります(本来は物置?)。

線路が先ではなく、場所が決まってから、その場所を最大限に有効活用できる線路の形を考えるのです。
この順番はかなり大事だと今は思っています。
なにしろ実際に私はこのやり方にした後に、メルクリンをずっと置いてあっても、走らせていても文句を言われたことは一度もないからです。
レイアウトを見た家人はたまに「あ、電車が走ってるわ」とか言います。そして列車を少し見て、何か一言くらい感想を言っていきます。
この関係を築けないと、レイアウトは最初から廃線が決まっている鉄道会社のようなものになってしまうのです。

場所が決まったら線路の形を考える

場所の候補が決まったら、線路の形を考えます。
おそらくほとんどの場合で、長方形の広大なスペースが手に入るなんてことはないと思います。
ですので、最初に長方形のスペースやオーバルの線路を考えても、あんまり意味がないのです。

年単位で邪魔にならなくて、インテリアとして設置できる場所というのは、だいたい良くて細長いか、下手をすると折れ曲がっていたりするような場所です。スキマ空間というやつですね。
でも、それは普通の家の人にとってはごく当たり前です。全員が王様のお城のような部屋に住んでいるわけではないので。
鉄道模型のレイアウトとは、基本的に『変な形をしている』『デッドスペース』がベースになるのです。

私の大きな方のレイアウトである、アルタイル・ハーミテージですが、これもよく見ていただくとわかるのですが、この部屋は四角くないのです。
いびつな台形のようなかなり変な形をしています。もともと全く別の用途で存在している部屋なので、家具とかはすごく置きにくいのです。
しかし、メルクリンのレイアウトがあることで、部屋が四角くなっています。
つまり、いびつな台形のでっぱりの部分を埋めるようにメルクリンが走っているので、四角い部屋として使えるようになったのです。
そのため、両端が変な形に膨らんでいるのに真ん中がすごく細い橋のようになっています。

最初から、そういうレイアウトにしようと考えたのではないことがポイントです。
部屋のデッドスペースにメルクリンを設置したら、ああいう線路の形になってしまったという順番です。
しかも、線路の形を決めたのは私ではありません。もちろん最後に、納得して決定したのは私ですが、それまでに友人たちが、こうした方がスペースが出来るのではないかとか、これだと無駄な空間が残るのではないかとか、線路のことではなく生活動線を考えてデッドスペースの形を変える提案がありました。
それで、最後に線路の形というか、ここにはメルクリンを置くのだけれど、そうすると線路はどうなるんだろうと考えて今の形になりました。

線路を敷きたいように敷くのではなく、場所にあった形に線路を敷きます。
現実の鉄道会社もそうだと思います。用地の関係や人口が多いところ、需要があるところをどう繋ぐかを考えてレールが敷かれるのであって、こう敷きたいんだという社長の意図で線形が決まっている会社は少ないのではないかと思います。
すでにこの時点から鉄道会社ごっこの『模型』は始まっているのです。

変な形のところや困った形のところにレールを敷くので、レールも変な形になると思います。
それでいいんです。
実はその変な形のレールが列車の動きに変化を付けて、飽きの来ない、自分でも想像していなかったレイアウトへと発展していきます。

ただし、デットスペースが良いと言っても、以下のようなところにはレイアウトは設置できません。

・屋外で風雨にさらされるような場所
・見られないほど高い場所
・飛び飛びになってしまっているような場所
・あまりに小さすぎる場所

小さすぎるというのは1両も列車が置けないようなスペースのことです。 小さいのではなくて狭い場所、例えば幅が5センチしかないのだけれど、長さは1メートルあるみたいな場所はむしろ有効です。

下の図の形のように、なんか微妙だなと思えるような形にしかレールが敷けないと思います。 それでいいんです。いや、それがいいんです。

線路は別に1カ所も丸く繋がっていなくていいです。
すでにCS2で遊んだ人ならわかるかもしれませんが、メルクリンは線路が丸くなっていなくても列車は自動で走り続けることが出来ます。

『レイアウトの線路は丸く繋がっていなくてはならない』なんてことは全然ないので、スキマに出来るだけたくさんのレールを敷けるような形を考えてください。
できるだけたくさんのレールを敷くと言うことは、もし長方形のスペースができたとしてもオーバルではなく、最初の図のように平行にした方がたくさん敷けますよね。そういう意味です。

場所が決まったら、いよいよレイアウトプランを考えます。