レイアウト製作(5) ストラクチャーや演出を考えよう

ストラクチャーは世界的には豊富

メルクリンが採用しているHO(1/87・軌間16.5mm)という縮尺は、鉄道模型では世界で一番普及しているサイズです。
ストラクチャーも非常にたくさんのメーカーから、様々な種類の構造物が発売されています。
日本のストラクチャーはほとんどないかもしれませんが、最近では3Dプリンターやレーザーカッターで簡単に自作することも出来ますので、ないものでどうしてもほしい場合には作ってしまうのもありだと思います。

いずれにしても日本の車両はないのですが、日本以外では1/87の選択肢は非常に多いです。
中世のお城のようなものもありますし、巨大な遊園地、バスや車の種類も豊富です。
中にはラブホテルのようなちょっと大人の世界(もちろん中で楽しんでいる可動顧客も含めて)まで再現できるようなキットもあります。

作ることが苦手という人は、完成品もあります。
また、正確な縮尺にこだわらずに、見た目がだいたい合っていればいいやという場合には、以外といろいろなものが使えます。

アルタイルハーミテージは和風ですが、置いてあるヴォーカロイドのフィギュアや食べ物などはノンスケールです。
また神社の鳥居はホームセンターで売っている実物ですし、五重塔は法隆寺の木工模型です。大きさがあるので重厚ですし、リアリティも本物の木組みであります。
源氏物語の貨車が通過している自動改札機は、1/12という大きな模型ですので、人ではなくて列車の方を通過させてみました。

私のレイアウトに載っているものの多くは、実はお土産です。
旅行好きなので、いろいろなところに行ったりした時に買ってきたお土産は、どこかに飾っておく必要があります。それがレイアウト上にあるのです。
設計段階で場所を探したときに、土産物を置く場所とレイアウトを複合させようと最初から考えていました。インテリアとしての発想です。

具体的には、ミャンマーの伝統的な壺のような入れ物や、夜市で購入したおもちゃ、中国の友人が切り絵で作ってくれた私の似顔絵、ラトビアの陶器で出来た猫、ドイツのお酒やドイツ鉄道のエンブレム、地元のゆるキャラや日本のアニメのキャラクター、北海道のガラス工芸、ベトナムの絵皿、オーストリアの琥珀で作られた樹木、タイの置物、友人からもらったモデルカー、エジプトの露店で買ったがらくた、JRのICカードのぬいぐるみ、高速のSAで購入した信楽焼の招き猫、スイスの積み木、もらいものの関羽像、カッパ黄桜の博物館で買ったワンカップ、友達の娘さん(小さい子)が作ってくれた微妙なものなど、変なものばっかりが置いてありますが、どれもちゃんと思い出があるお土産なのです。

あまりパターンに捕らわれないで、自由な発想で楽しんだらいいと思います。

演出をしよう

レイアウトは精巧に作る芸術品と思われがちですが、メルクリンの場合には走らせて楽しいのが一番ですので、精密さは求めなくても良いと思います。もちろん求めても楽しいと思いますけれど。
自分で納得していればそれが一番ですが、簡単にできるディテールアップの方法としては、演出するのもひとつの手だと思います。

大型のレイアウトになると、精密に作り込んだストラクチャーで埋め尽くすのは大変な労力が必要になります。
全体を破綻なく均一な品質で作り上げることは苦労するでしょう。
そこで、静止画的な発想ではなく、動画的な視点で、全体を大きく演出すると良いと思います。

アルタイルハーミテージでは夜景は、昼間のレイアウトの印象と全く異なります。
銀河鉄道のようなイメージです。
これは夜景だからこそ出来る演出で、かつ、とても簡単にできます。

銀河の夜景を作り出しているのはプラネタリウムです。
星を水平方向に投影できる機種を選んでいます。 また、花火を打ち上げているのはそういうおもちゃです。数千円もしないで買えました。

走っている列車は、それだけで全体が大きな映画のような動画になっています。
精密なレイアウトが切り取った風景を魅せる写真のようなものだとすると、私のレイアウトは動画であると言えると思います。
そのため、背景にも動きのある動画でディテールがそんなに高くないものを合わせることでバランスを取っています。
夜景の時には、まさに部屋全体が動きに包まれるので、映画の中にいるような雰囲気です。

目的にあった演出をしてあげることで、作り込まなくても、レイアウトで十分楽しんで遊ぶことが出来るのです。