【CS2】L88の接続と初期設定

CS3との接続・設定については下記のセンサーに関する動画をご覧ください。

L88とS88

L88はCS2のブースター端子に接続する、各種センサーからの信号を受け取ったりすることができる機器です。
メモリーでセンサーからの反応を利用した運転をする場合には、必ずL88が必要になります。

L88と似たような製品に、S88という増設用機器があります。
S88は、L88にさらに2台目以降として追加する場合に使用します。つまり、使用するセンサー用のポートの数が16個以下で、1台のL88だけで済む場合には、L88を1台だけ購入すれば良く、S88は購入する必要はありません。
CS2本体に接続する1台目の機器は、必ずL88でなくてはなりません。

また、増設用のS88には、AC用(メルクリン用)のS88 AC版(型番60881)と、DC用(DCC用)のS88 DC版(型番60882)の2種類が発売されています。
L88にはAC、DCの区別はありませんが、増設用のS88には区別があります(集電構造の違いによりセンシングの方式に差が生じているため)ので、注意してください。
メルクリンでは、AC用を使用しますので、S88を購入する場合には、型番60881であることを確認してください。

さらに、大変ややこしいのですが、2015年前半くらいまでは、この増設用機器と同じ名前で『S88フィードバックモジュール』(型番60880)というほぼ同じ機能の製品が販売されていました。
便宜上、この型番60880のS88のことを『旧製品S88』と書いて区別します。

旧製品S88の場合には、CS2に接続する1台目も、その後の増設用にも、全く同じ機器をそのまま繋いでいました。
旧製品を使った経験がある人の場合には、新製品では機器の繋ぎ方が変更になっているので、特に注意してください。
また、旧製品を使っている人は今後も使い続けることが出来ます。新製品のL88にも旧製品のS88を増設用として接続することが出来るようになっていますので、安心してください。
ただし、新製品の方が動作の安定性が高く、茶線の接続の仕方も統一されているので使いやすいです。

簡単にまとめると、
【旧製品S88】1台目、2台目(親機・増設)といった区別なく、すべて同じ機器を使用する。
【現行製品L88、S88】1台目が必ずL88(親機)、2台目以降は増設用としてのS88(子機)と区別されているので、増設分のS88は価格が若干安くなっている。
ということです。

L88、S88の接続方法

L88の接続方法を図解します。

CS2本体のブースター端子に、L88を接続します。
L88のポートのT端子には、CS2のレイアウト出力の茶線を接続してください。

もし、ポートの数を増やすために、2台目以降の機器が必要な場合には、L88ではなく、増設用であるS88を必要な数だけ購入して繋ぎます。
L88を複数個繋げることはできません。また、1台目のL88を省略して、いきなりS88だけを繋いでいくこともできません。
必ず、1台目にはL88、2台目以降はS88という構成にしてください。

CS2とL88の間は、L88に同梱されている専用ケーブルで接続しますが、L88と2台目以降のS88の間はLANケーブルで接続します。
LANケーブルは製品にも同梱されていますが、一般に市販されているストレートケーブルがそのまま使えます。このため、L88とS88の間はケーブルの長さを比較的自由に調整することができます。
例えば、CS2がある位置から遠いところにセンサーなどがある場合でも、L88からLANケーブルで増設したS88をセンサーの傍まで配線を長くして配置することで、センサー線の取り回しなどを集約することも可能です。
※L88とS88を繋ぐLANケーブルは、クロスケーブルは使用できないので注意してください。

また、L88には全部で3系統のS88増設用ポートが用意されています。
Bus1とBus2にはLANケーブルを繋ぐことができ、増設用S88を接続することが出来ます。
それぞれ別方向にケーブルを伸ばしていくことができるため、大型のレイアウトを構築している場合などは便利です。

旧製品S88(型番60880)を利用されている方へ

L88のBus3には旧製品のS88を、そのまま増設用のS88として繋ぐことが出来ます。
旧製品を使用していて、今後、フィードバックモジュールを追加したいという場合には、1台目になるL88を購入すれば、今持っているS88を無駄にせずにそのまま使用することが出来ます。
ただし、旧製品S88用に設定してあるメモリーの内容は、L88を使用する際には、使用するCS2の端子が異なることに起因してメモリーのコンタクト番号体系が変更になるため、設定内容を変更する必要があります。
設定メモリーの数が多い場合や、設定内容が複雑な場合には、変更にはかなりの作業量が発生します。

また、別売りの専用ケーブル(型番60884)を購入することで、旧製品S88を使用せずに、現在の増設用S88だけを繋いでいくこともできます。
この場合には、いまある旧製品S88を置き換えることにはなりますが、すでにCS2に設定されているメモリーの内容を書き換えないでそのまま流用できるというメリットがあります。

新旧のS88を混在させる場合で注意していただきたいのは、新旧のS88だけを互いに接続することはできないという点です。
1台目にL88を使用すれば、L88のBus3に旧S88を接続することで、新旧のS88を両方とも使用することが出来ますが、L88を介さずに、S88だけを繋いでいくことはできません。

L88の初期設定

L88は購入して最初に設置する前に、CS2で初期設定を行う必要があります。

L88には別売りの外部電源が必要です。
メルクリン社としては、66361、66365、66201といった電源に対応していますが、これらはすべて欧米仕様のため、販売店で日本の電圧に対応したACアダプターを購入してください。
※外部電源が必要なのはL88のみで、増設用のS88には外部電源は不要です。

L88をCS2のブースター端子に接続します。
L88のACアダプターを先にコンセントに挿して電源を入れてから、CS2本体の電源を入れてください。
※逆の順番にすると、CS2がL88を認識出来ない場合があります。

CS2の「setup」タブをタッチして設定画面に切り替えて、スパナマークをタッチしてください。

設定画面ページを切り替えて「Information」を選択します。

Infoの欄のプルダウンの矢印をタッチすると、本体CS2の接続されているL88の情報が表示されますので、ますばこれを確認してください。

「Link S88 #番号」という表示が出ると思います。
この表示が出ていない場合には、L88の認識に失敗していますので、一度L88とCS2両方の電源をオフにして、最初からやり直してください。

ここで#の後ろに表示されている番号が、あなたの持っているL88の個体識別番号になります。
この番号は自分で採番することは出来なくて、自動的に割り当てられます。
特に意識する必要も覚える必要もありませんが、1台のL88について固有の番号が割り当てられているので、もし運転会で複数のL88が持ち寄られている場合や、1台のCS2に他のL88を繋ぎ替えて接続したような場合には、このリストに複数のLink S88が表示されます。その場合には、この番号で各L88の個体を識別することが出来るようになっています。

L88が正しく認識されていたら、プルダウンから、その「Link S88 #番号」を選択してください。
Infoの下の欄に表示されている内容が切り替わります。

3番目の「Auswertung 1-16」という欄は、「Einzeln」を選択してください(初期値でそうなっているはずです)。
ここを「Matrix」に切り替えると、L88のポートをボタンコントロール用のマトリックスキーボードモードとして利用することかできるようになります。
マトリックスキーボードモードとは、1台のL88、S88で最大64個のボタンコントローラーを受け付けられるようにする機能です。しかし、配線が非常に煩雑になるため、現状ではあまり使い道がありません(普通に別途ボタン用の機器を設置した方が便利です)。
センサーからのフィードバックモジュールとして利用するためには、必ず「Einzeln」にしておいてください。

続いてその下の「Länge Bus 1 (RJ45-1)」の欄には、L88のBus1に接続した、増設用S88の個数を入力します。
同様に、「Länge Bus 2 (RJ45-2)」の欄には、L88のBus2に接続した、増設用S88の個数を入力します。
「Länge Bus 3 (6-Polig)」の欄には、L88のBus3に接続した、旧製品のS88の個数を入力してください。
L88を1台だけで使用していて、増設S88が1台もない場合には、すべての欄を「0」にしてください。

この数は非常に重要で、いくら増設用S88を接続したとしても、ここで数値を正しく入力していないと、S88は認識されません。
例えば、S88をBus1に3台繋いでいるのに、この数値が「0」のままだと1台も認識されません(L88のポートしか使用できない)。また、「2」となっていると、3台目のS88のポートは認識されません。
特にS88を増設している人はよく確認してください。
複数台のS88を持っていて、お座敷レイアウトや複数のレイアウトなどでBusを繋ぎ替えたりするして使用するという人は、面倒であれば、最初から「10」などのわりと大きめの数値を、Bus1と2の両方の欄に入力してしまうというやり方もあります。
この数値は、実際に接続されているS88の数よりも少ない場合には、認識できないS88が発生して問題になりますが、実機の数よりも多い数値が入力されている場合には、私が実験した範囲内では問題なく動作しました。

さらに下にある「Zykluszeit Bus 1 (RJ45-1):Bus1」以下の項目は、センサーの感度の設定です。
こちらは、実際に列車を走らせてセンサーを反応させて調整した方が良いので、最初は初期値のままで始めてください。
具体的な感度の設定の仕方は、入門の「センサーで列車の動きを検出して運転しよう」で解説しています。

以上で初期設定は完了です。

個体識別番号とデバイスID番号

L88に割り当てられる番号で注意する点がひとつあります。
CS2のメモリーやレイアウト画面で、L88のポート番号を指定する際には、初期設定で確認した#の付いた個体識別番号とは別の、デバイスID番号を使用します。
例えば、私のL88では、個体識別番号は「#662」ですが、デバイスID番号は「150」でした。
メモリーの設定画面では、デバイスID番号の方だけが表示されて、個体識別番号は表示されないので、混同しないように注意してください。

個体識別番号とデバイスIDの対応は、「setup」の「Devices」で確認できます。

「setup」タブでスパナマークをタッチして設定画面を表示します。
下のメニューで「Devices」画面に切り替えます。
すると、Link S88が表示されています。
Typeの( )の中の数字が個体識別番号で、Device IDの欄の数字がデバイスIDです。

上の例では、個体識別番号#662のL88のデバイスIDは150であることがわかります。
メモリー設定等で、このL88に繋がっているポートを指定する場合には、必ずデバイスID「150」をセットで指定してください。

なお、「Edit device」ボタンをタッチすると、デバイスにニックネームを付けられますが、現在のところ、ここでニックネームを付けても、CS2の他の画面ではどこにも表示されませんのであまり意味がありません。
将来的にはニックネームが表示されるようになれば、わかりやすくなって便利になるのではないかと思います。

旧製品S88と現行製品のポート指定の違い

旧製品S88(60880)はCS2の背面端子に接続するため、現行品とはメモリーで指定するポート番号そのものが異なります。
現行品のS88を、別売りの専用ケーブル(型番60884)を使用して、直接CS2の背面端子に接続した場合にも、ポート番号の扱いは旧製品S88と同じになります。

旧製品S88(背面端子接続)の場合には、ポート番号は、すべての機器がBus0への接続として扱われて、番号体系は「1」から始まる連番になります。
1台目の旧製品S88がポート「1~16」、2台目が「17~32」・・・という番号です。

現行品のL88はCS2のブースター端子に接続します。さらに増設S88は、L88の好きなBusに接続できます。

現行品(ブースター端子接続)では、1台目であるL88のポート番号だけがBus0の扱いになり、それ以降の増設S88は、接続したBusごとに決まった番号体系になります。
また、ポート番号指定の際には、L88のデバイスIDの指定が不可欠になります。
1台目のL88が、デバイスID番号:ポート「1~16」
Bus1に接続した2台目以降のS88が、デバイスID番号:Bus1:ポート「1001~1016」、「1017~1032」・・・
Bus2に接続した2台目以降のS88が、デバイスID番号:Bus2:ポート「2001~2016」、「2017~2032」・・・
Bus3に接続した2台目以降の旧製品S88が、デバイスID番号:Bus3:ポート「3001~3016」、「3017~3032」・・・
という数値になります。

L88のポート番号は1~16ですが、2台目になるS88のポート番号は17にはならず、繋いだBusによって、1001番以降の数値になることに注意してください。
また、L88のポート番号は1~16ですが、CS2の背面ポートに繋いだ時の設定とは異なり、設定画面では必ずデバイスID番号の指定が必須になります。
このため、既存の旧製品S88で設定したメモリー等は、そのままL88などに機器更新した場合には、すべての設定内容を変更する必要が生じます。

旧製品から新製品へとリニューアルする場合には十分に注意してください。

実動作としては、CS2の背面端子に旧製品のを繋いだままで、さらにブースター端子に現行製品のL88を接続して、両方とも併用することはできますが、設定が煩雑になる上に動作の安定性も異なるので、あまりお勧めではできません。
※ポート1~16・・・という旧製品の番号体系と設定を維持しつつ、現行製品を追加しても、現行製品のL88にはデバイスIDを指定するため、設定が重なることはありません。