都心型超ミニステージ『ウインド・ストリート』

スペースがないなんて言わせない!

鉄道模型、特にレイアウトはスペースが必要だから諦めている。そういうことをたまに耳にします。

私もずっと諦めていました。 何回か挫折もしました。
このサイズならできるんじゃないかと思って、小さな1周だけのレイアウトを作ってみたり、棚の端に少しだけ線路を敷いてみたり。
でも、結局少しすると遊ばなくなってしまって、やっぱり大きくて列車が何両も走らないとつまらないのだと考えていました。

そして、ついに出来ました。
たたみ一畳どころか床も必要ない、鉄道模型のためにどこの場所も犠牲にしない最小レイアウトです。
『ウインド・ストリート』は窓枠に設置されています。その大きさはなんと110cm×15cm。だからウインド・ストリートという名前です。

しかも、いつでも撤去してしまうことができます。
それでもストラクチャーも気分で載せ替えられますし、列車だって最大3列車も走るのです。
特に都心部では極限までスペースはありません。そんな場所でも鉄道模型を走らせられるんだということを、実践してみたかったのです。

ウインド・ストリートには、棚の支線があるのですが、こちらでも140cm×45cmしかありません。
棚の支線では5列車が走り、しかも、同時走行も最大3編成ということができます。

どちらもZゲージではないですよ。
1/87のナローではない普通のHOのレイアウトです。

もう諦めないでください!

「ちゃんと走るのに小さい」という極限に挑戦

ただ『小さい』というサイズにこだわったレイアウトは、世の中に山のようにあります。
本棚の中、引き出しの中とか、靴箱とか……。

私もPIZZAとか呼ばれるような小さなレイアウトを作ったりもしました。
でも、それらの多くは『小さいことが目的』のレイアウトなのです。

特に小さいけれど情景を作り込んでいるという作品はかなりあります。
きれいで芸術品ですね。
でも、私はそういうきれいな芸術品が欲しかったのではなく、鉄道模型が走る場所が欲しかったんです。

小さいからって、ただくるくる走るだけではつまらないんです。
短い距離を単純に往復するだけだと飽きてしまうんです。
小さくても、走らせて楽しくなければ、嫌になってしまう。この点を克服することが最大の難関でした。

小さい方がスキルが必要

小さいと簡単ですぐに出来そうに思いますよね。
そんなことはなくて逆なんです。小さいとかなりテクニックを使わないといけないのです。

ウインド・ストリートは、アルタイル・ハーミテージを作った後に、いちから設計して作りました。

ウインド・ストリートにかかった費用は、アルタイル・ハーミテージの費用にかなり近いです。
アルタイル・ハーミテージは1日で完成しましたが、ウインド・ストリートは製作に3日かかっています(窓際と棚の両方の合計)。
ウインド・ストリートには、アルタイル・ハーミテージより多数のセンサーとより複雑なポイント、ほぼ同数の信号機と、数倍の数のK84デコーダーが組み込まれています。何も加工していないレールは3本くらいしかなく、他はすべて何かの配線か加工がしてあります。

いまはCS2も進化したのでもう少し簡単にできると思いますが、当時は私の持てる全ての技術を投入して作った、最先端の鉄道模型だったのです。
運行パターンも何個か変えられます。全く同じ列車配置になるまで5時間くらいかかる運行パターンもあります。逆の言い方をすれば、ただ見ているだけでも5時間は楽しめるということなんです。

走らせることは妥協しない。
それこそが私が目指した『小さいレイアウト』だったのです。

ギャラリー

窓際の町並み

これは単純な直線が2つあるパターン(配線パターンは変えられます)。
音を出しながら行ったり来たり。あれ、途中で止まったり戻ったり。どっちに動くのかな?
窓ですのでBGVのような走りを目指したのですが、意外と見てしまいます。

CS2はベッドの上に置いてあるので映っていませんが、全自動運転です。

棚のレイアウト

ひとつの列車があっちに行ったり、こっちに行ったり。
おや? 同時に複数の列車が走り出したりもします。こちらも走行パターンを変えられます。

棚の一番上に置かれたCS2で運転しています。誰も何も触っていません。
こんなに複雑でも全自動運転です。