この内容は、大変マニアックなうえに、メリットは全くありません。
MINITRIXやTRIXのポイントを使用するには、メルクリン社のソレノイド(電動化ユニット)とデコーダーを買って取り付ければ、道床内に収まりますし、価格も安価です。
NゲージのポイントをDCCとして使用するには、Digitrax社のポイントデコーダーを使えば、道床内に収まりますし、価格も圧倒的に安いです。
基本的に、ここに書いてあることは、やらないでください。
やるなと言われるとやりたくなりますが、壊しても文句言わないという人だけにしてください。
m83、m84の違いと使い方の例を勉強したい、または、たまたまm83とm84の2つを持っていて、余剰している場合で、なおかつ、Nゲージのアナログのポイントを無加工でそのまま、試しに使いたい、ちょっとだけ使う必要があるといった場合などにしか、実用性はありません。
もし無理矢理にメリットを挙げるとすれば、メルクリンのm83、m84を使っている人が、何らかの理由で、日本のアナログNゲージのKATO(TOMIXでもいいですが)のポイントを、メルクリンコントローラーからデジタル操作で遠隔で切り替えたいという時くらいしかないと思います。
そんな人が私以外にいるとは思えませんが(笑)
ポイントマシンには「2線式」と「3線式」の2タイプがある
鉄道模型の分岐器(ポイント)の電動化マシン(ポイントマシン/ソレノイド)には、「2線式」と「3線式」の2タイプがあります。
メルクリンをはじめとするヨーロッパでは、主に「3線式」が使われています。
線路の2線式、3線式とはまた別なので注意してください。例えば、Zゲージ/1番/TRIXは線路は2線式ですが、純正品のポイントマシンは3線式です。
一方で、日本のアナログNゲージやアメリカのポイントでは、2線式のポイントマシンが使われていることも多いです。
日本のNゲージは、TOMIXもKATOも「2線式ポイントマシン」です。
2線式のポイントマシン
「2線式」は、ポイントマシンからは、電線が2本出ていて、それぞれの極性を反転することで、分岐器を切り替えます。
要するに、赤と黒の2本の線が出ているとして、赤と黒に流す+と-の電気を反対にすることで、分岐器は直進/曲線など、別の進路に切り替わります。
3線式のポイントマシン
「3線式」は、ポイントマシンからは、電線が3本出ています。
例えば、青・黄・青の3本の線が出ているとして、真ん中の黄色がコモン線で共通で、左右の青との組み合わせを「青・黄」と「黄・青」で切り替えることによって、進路を切り替えます。
メルクリンのポイントマシン(ソレノイド)は、すべてこの「3線式」ですので、デコーダーであるm83も「3線式」にのみ対応しています。
つまり、m83では、Nゲージなどの「2線式ポイントマシン」のポイントを切り替えることは出来ません。
m84と組み合わせることで、強引に配線を反転させる
普通はメーカー純正品を使うので、本当はやったらだめではないですが、絶対にオススメはできませんが、Nゲージのポイントをちょっとだけ動かしたいんだけど、わざわざデジタル対応してデコーダー買うのはもったいないなあと思ったので、この出来ないことを、無理矢理できるようにしてみました。
Nゲージはアナログなので、デジタルに加工してしまうと、戻すのも面倒くさいので、無加工のまま使います。
そうすれば、メルクリンでも、アナログNゲージでも、そのまま使えるからです。
今回使用しているのは、KATOの4番電動ポイントですが、電動ポイントであれば、TOMIXや他のポイントでも同じことができます。
ただし、ダブルクロスなど、特殊な動作をするポイントについては、私が持っていないこともあってわからないです。やらないでください。
繰り返しになりますが、メルクリンにはメルクリン純正品を使ってください。
NゲージにはNゲージの純正品を使ってください。
ただ、こういうこともできるよということで、純粋にm83とm84の動作原理を知ることは出来るかもしれません。
動いている動画を、X(旧Twitter)にポストしてしまったので、質問が来ると面倒くさいので、やり方を書いておきます。
配線図
このように配線します。
画像タッチ/クリックで、元画像をポップアップしますので、小さくて見えない時には、そちらの画像を保存して別途ご覧ください。
配線の説明
m83とm84
m83はデコーダーです。4つのデコーダーが1つの機器に入っていますので、ポイントなら1個ずつ道床内にデコーダーを付けるよりは、配線は必要ですが、価格的には有利になります。
どちらかと言うと、固定レイアウト向きの機器です。
m84は、アクセサリとして遠隔から操作できる「切り替えスイッチ」です。
MS2やCS3から、赤と緑のボタンで配線を切り替えたり、センサーなどから入ってきた電流を検知して、赤の配線と緑の配線に切り替えることが出来る機器です。
2線式のポイントマシンの極性反転を、配線を物理的に入れ替えることで実現する
メルクリンの純正のポイントマシン(ソレノイド)なら、m83を付けるだけで切り替えることが出来ます。
しかし、今回の例では、ポイントマシンがNゲージ用の「2線式」のため、m83では機能しません。
※より正確には、どちらか片方向にのみ切り替えできますが、もう一方向に切り戻すことが出来ません。
これは「2線式ポイントマシン」は、2本の線の極性を反転させて切り替える仕組みだからです。
そこで、電気の極性を切り替えられないのなら「配線そのものを、物理的に左右入れ替えればいいじゃない」というのが、この配線の発想になります。
つまり、本来は、端子に繋がっている線に流れる電気の方が、「+・-」と「-・+」と切り替わるわけですが、ここではm84を使って、端子の方は+が流れる端子と-が流れる端子で固定しておき、配線の方を人間が手で繋ぎ直すように、結線する位置を入れ替えて「右端子・左端子」と「左端子・右端子」と繋ぎ変えるということです。
図の中のm84の部分が、この動作を担当しています。
いま、KATOのポイントから出ている2本の線のうち、赤と黒は、それぞれm84の「1番」と「2番」の中央の端子に繋いでいます。
m84を赤と緑で、切り替えることで、この真ん中に繋いだ線は、左右の赤と緑の端子に繋がっている線と繋がり、切り替えなかった方は切断されます。
1番の真ん中に繋いだ赤線は、m84の1を「赤」にすると、赤の端子の線と繋がり、「緑」にすると、緑の端子の線と繋がる、という状況です。
2番に繋いだ黒の方の線も同じです。
なので、m84の1番「赤」と「緑」、m84の2番の「赤」と「緑」の線を、それぞれ、m83の端子に左右が反転する形で繋ぎ変えてから、m83を動作させて通電させれば、ポイントから見ると、配線が入れ替わって、極性が反転した電気が来るので、切り替えられるという仕組みです。
注意が必要なのは、m84の操作を間違うと、赤と黒の配線が繋がってショートするので、操作ミスは絶対に許されないという点です。
自動運転なら、CS3が切り替えるのでミスはしません。
MS2で人間が操作する時は要注意です。
一見すると、最初からショートしている形に配線されていますが、m84では、「赤」と「緑」の端子のどちらか一方にしか繋がらないので、内部では切れています。
また、m83は通電する時にしか電気が流れないので、ボタンを押して電気を流すまではショートしません。
切り替えた時の電気の流れを見てみよう
もう少し変わりやすく、実際に切り替えた時の、配線の状態だけを取り出した図がこちらです。
「赤」に切り替えた時(m84-1赤/m84-2赤/m83-1赤)
黄色の線のところは「赤線」が繋がれた状態になりますから、m83の端子では、「左黒・中赤」という配線になります。
「緑」に切り替えた時(m84-1緑/m84-2緑/m83-1緑)
黄色の線のところは「黒線」が繋がれた状態になりますから、m83の端子では、中の赤と黒が入れ替わって、「右赤・中黒」という配線になります。
上の図と、下の図で、m83の1番の端子の部分を見ると、中の配線が入れ替わることで、ペアとなる左右の赤と黒の配線の物理的な位置が、反転していることがわかると思います。
これで、ポイントマシンに繋がる配線そのものが左右反転しますので、電気の極性を変えなくても、ポイントマシンから見たら、配線を逆にされていることで、極性が反転していますから、切り替えができるということになります。
操作上の注意
先ほど書いたように、操作ミスは許されないです。
先にm84で配線を切り替えてから、m83で通電するようにしてください。
操作順番を逆にしてはいけません。
m84→m83の順番で操作します。m83を先に切り替えるのはだめです。
ポイントの切り替え
【A】m84の1番「赤」→m84の2番「赤」→m83の1番「赤」
【B】m84の1番「緑」→m84の2番「緑」→m83の1番「緑」
で、それぞれ、AとBの2つの進路に切り替わります。
つまり、進路を切り替えるには、1回の切り替えにつき、3手順必要、ということになります。
どちらが直線向きになるのかは、やってみて確認してみないとわからないです。
実際に切り替えてみた
実際に操作してみた映像がこちらです。
この映像では、配線が上記の図とは異なっているため、ボタン操作も異なっています。
上記の図は、赤と緑で統一して、よりわかりやすい配線にしていますので、上の配線図ではこの映像の通りのボタン操作はしないでください。
MS2で操作(操作ミスをしないこと)
CS3で操作(自動運転)
このように、m84を使うと、いろいろな配線を切り替えることができます。
この例は、全く実用的ではありませんが、ストラクチャーのモーターのスイッチをオンオフしたり、閉塞制御で後続の列車を信号機で停車させるなど、本来の便利な使い方を覚えるようにしましょう。
※どちらもYoutubeチャンネルの動画でご覧いただけます。